民主の給油停止とアフガンの復興支援2009/08/04 11:08

 民主党のマニフェストのインド洋上給油停止は、やめた後どうするかを提示しないのでは解決にならない。少なくともインド洋での給油を停止するのであれば、どうやってテロを撲滅するのかというその道筋を明確にすべきである。単に、いままで反対していたから、政権を取ったら給油は停止であるというのでは、説明になってない。私は何も給油を継続すべきであると言っているのではない。タダのガソリンスタンドなど即刻辞めるべきだと思っている。

 ではどうすればよいのか。それはイスラム世界の貧困と格差をなくす以外に方法がない。すべては貧困と格差である。努力が報われる世界であれば、テロは発生しない。意識の高いものが、差別を受けたりすることがテロの温床である。怠惰なものが、食えない世界は格差でもなく、不平等でもない。痩せた田畑しか持てない国は、食うための作物は作れるかもしれないが、テレビは買えない。そこに居たければそれはそれで致し方のないことである。しかし、いたくなければ、出て行く自由はあってもよい。自分の住む地域を選択する自由は保障されるべきである。しかし、それでは解決にならない。乾燥した痩せた大地であっても、彼らの大地であり、彼らの国家なのである。その誇りは尊重しなければならない。

 私は、農業支援が一番重要であると思っている。タリバンがはびこるのも、そうした恵まれない地域をベースにしているからである。そして、そういう地域でケシの栽培をさせ、そこから得られる利益をタリバンの活動資金にしているのである。灌漑のために資金を投入し、乾燥して痩せた大地を緑豊かな農地に変えていくことができれば、農民はそれを守ろうとする。決してケシ栽培などに手を染めたくはないのだ。

 私は、サンクチュアリを作っていくことを提案する。農業を主体としたサンクチュアリをアフガンにつくっていくのだ。このサンクチュアリは、テロから農民を守るという目的もあるが、テロリストを根絶する戦いの場でもある。

 私は、すでにこの世界は国家間の戦争の時代ではなくなっていると思っている。散発的にはまだあるだろうが、これからの世界はテロとの戦いであると思っている。もっと言えば貧困と格差との戦いである。国の軍隊というものは、国家間の戦いを前提にしたものではなく、テロ戦争を前提とした体制に変更していかねばならない。そういう意味では、アフガン支援は、軍隊体質の再構築のための絶好の機会である。

 サンクチュアリを守り、拡大していくために、過渡期として軍隊が駐留するのは致し方ない。繰り返すが、従来の軍隊ではない。テロ撲滅とサンクチュアリの死守に最適化したプロ集団としての軍隊である。その為に自衛隊を派遣する。

 ペシャワール会の中村医師は、長年献身的に農業支援の戦いを行ってきた。しかし、大国のアフガン政策の過ちとテロリストの勢力拡大で、撤退せざるを得なくなってしまった。これは一種の見殺しである。こういう状態に何の手助けもできなくて、無料のガソリンスタンドを浮かべておくことは全く国家としての主張もなければ哲学もない。

 この戦いは、恐らく10年20年の歳月をかけた戦いになるであろう。しかし、そういう覚悟を持ってこの国家を導いていくのか政治家の役目である。

コメント

※コメントの受付件数を超えているため、この記事にコメントすることができません。

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kari.asablo.jp/blog/2009/08/04/4478729/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

<< 2009/08 >>
01
02 03 04 05 06 07 08
09 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

カテゴリ一覧

最近のコメント

RSS