派遣労働2008/12/29 20:05

①若手労働者を派遣で充当するというのは、いつでも切れるという考え方が中心になっている。フロー人材と呼ばれるゆえんである。実際には費用効果は実質的には派遣の方が高くなる。 

②派遣が増えたのは、①のように企業が人材を流動的(固定費から変動費へのシフト)に扱いたいからである。それが規制緩和という名目で企業側の要望が大幅に取り入れられた結果にすぎない。

③したがって、現在起こっている派遣切りは起こるべくして起こっている。景気が悪くなれば切るというのが本来の目的である。習熟よりも切ることが先決である。

④逆に若手正社員が減っているため、将来会社を担う人材の供給が絶たれる危険性をはらんでいる。特に、開発部門ではそうなる可能性が高い。

⑤将来的には職場の主力は派遣労働者になってしまうため、本来いつでも切れるという目的すら達成できなくなる。

⑥派遣は切れないが正社員は首にするという全く本末転倒の現象に将来的に至る。

⑥派遣を正社員にするというのも、実は企業側の都合である。③~⑤にも述べたように、派遣の大幅採用により、企業は別の意味で危機感を感じている。そこで、正社員への採用という道を開かせて、望ましい人間のみを吸い上げようとしている。

⑦企業にとって人員の採用は、リスクが伴う。将来その人材が有用である保障はないからだ。しかし、派遣は簡単に切れるので、採用時点での判断はそれほど重要ではない。そのうえ、使える人間はあとから正社員にできるという(正社員にすることで、社会的にもアピールできる)ことであり、こんなに都合のよいシステムはない。

⑧派遣問題は、企業側の問題ではない。モラルということを抜きに考えれば、景気が悪くなって人を首にするのは一番企業が楽な対策であり、投資家も喜ぶ。むしろ、派遣に応募する人材がいることが問題である。そういう人材がいなければ派遣問題は生じない。いくら首を切られても、派遣になりたいという人材がいる限りこの問題は解決しない。

⑨派遣にしかなれないというのは、個人の問題である。 もともと、雇用というのは、これも一種の需要と供給のバランスで成り立っている。労働力という商品を企業が買うか買わないかである。買う価値があるかないかが問われる。価値がなければ買いたたかれる。価値があれば、札束を積んででも買いに来る。

⑪すべてがサラリーマン化した現在、この雇用の関係を幼いころから教え込んでこなかった社会に根源はある。

⑫しかし、最後は企業は人材である。派遣に甘えている企業は、最後は衰えて死に絶えていく。

⑬(追加)派遣法を改正させたのは業界団体の圧力であるが、派遣に依存する会社は賃金を安くすることで生存して行こうとすることを目指している。その時点でそういう会社は、消滅して行く運命にある。派遣法の改正は、実は企業の弱体化を推し進めていることになっていることに、政治家も官僚も気が付いてない。

⑭(追加)派遣法をもとに戻そうという動きがある。それに対し、戻すのであれば、工場は海外に出してしまうという半分脅かしのようなことをいう業界や経営者がいる。そういう会社はどんどん海外へ出て行けばよい。勤勉さがなく、手も不器用で、すぐに文句をいう労働者を雇って儲ければよい。技術を持たない会社はそういうことをいう。そういう会社は、消滅するのは時間の問題である。

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