教育再生会議はどこへ行く?2006/10/12 10:17

 教育再生会議座長の野依良治氏が、大学院の実力低下を嘆いているとの報道があった。実力低下が深刻であり、抜本的改革が必要だが、企業の青田刈りで大学院教育はズタズタであるという。経済界の協力して欲しいとも言っている。

 このニュース、何か変です。野依さんといえばノーベル賞受賞者で、いままで大学教育にずっと携わってきた人。社長が、『おれの会社ボロボロだ、未完成品を客が持って行ってしまううだもん。お客さんに協力してもらわなきゃ。』と言っているようなもの。これじゃ、社長は務まりません。それに、今更青田刈りが悪いなんて、もう30年前の議論です。

 そもそも一国の総理大臣、愛国心を植えつけたいなどと言っていること自体が危機感の欠如としか言いようが無い。日本の教育は、本当にどうしようもない状況に来ているのです。愛国心よりも、もっと先に解決しなければならないものがあるはずです。

 私は、この日本の教育問題をここまで悪化させた要因は大学そのものにあると信じている。大学が、優秀な生徒を輩出するという本来の機能を全く無視して、大学卒、大学院卒の人間の量産しか目指してこなかったのが最大の問題です。大学は、入り口で能力の選別をしただけで、あとは放任してしまったのです。そして私学においては利益を上げることだけに邁進してしまった結果が現状なのです。

 入り口を狭くすること、かつフィルターをかけて画一的な人材のみを大学に導くようにしたことで結果的に何が起こったかというと、高校の荒廃であり、更に中学・小学校の荒廃へと繋がってきたのです。それでも、ベビーブーム時代は同じシステムでも競争が激しかった分なんとか時代を支える人間を輩出できたのですが、人口が減って競争が無くなったため、競争意識や緊張感もなくなり人材の質の低下へと繋がったのです。

 昔も変わらなかったのかもしれませんが、今の大学は入ってしまえばあとは遊んで、バイトをして4年間暮らせば卒業証書がもらえるのです。特に文科系はひどい状況です。こんな大学生を量産しておいて、実力低下が深刻などとよく言えたものです。理科系も、以前にくらべて相当低下しているのです。

 不思議なのは、なぜ野依さんはそんな実力のない学生に卒業証書を渡しているのかということです。

 大学は卒業基準をもっとはるかに厳しくすべきです。勉強しなければ卒業できないということを大学生にわからせるべきです。どんなに企業が学生を欲しがっても、簡単に卒業させてはいけないのです。卒業見込みのない学生は企業は採用しません。従って、青田刈りもなくなります。入学はもっと緩和すべきです。本当に勉強したい人材を集めるには、門戸は開放し、出口を狭くすれば良いのです。大学の入試は暗記ができれば答えられるような問題をなくし、思考を重視する問題にすれば、高校もそのような教育に放っておいてもシフトしていくはずです。それは、中学にも影響するはずです。

 これから教育者が考えねばならないのは、如何にクリエイティブな人間を多く輩出するかです。少子化の時代だからこそ、この考え方が重要なのです。暗記教育は、テストの採点も簡単です。しかし、クリエイティブな人間は育ちません。むしろ本来クリエイティブな素養をもった子供も、暗記一辺倒の教育でその芽を摘み取られているのです。この国の教育を破壊しているのは、当事者たる教育者だったのです。

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